日本の”異次元の少子化対策”とカナダの子育て政策の比較

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皆さんこんにちは。カナダで保育士として働くMayukaです。
私自身にも子どもがおり、子育て世代として日本やカナダの子育て政策に
興味があるのですが、最近ではよく”異次元の少子化対策”という言葉を
耳にするようになりました。
日本の少子化対策として抜本的な改革をしようという意図かと思いますが、
カナダの政策と比較などもしながら見ていきたいと思います。

児童手当

【日本】
3歳未満:15000円
3歳〜中学生:10000円
中学生〜高校生:2024年10月分(支給は2025年2月)から10000円

【カナダ】
6歳未満:月最大619.75カナダドル
6歳〜17歳:月最大522.91カナダドル

日本では児童手当を受け取れる収入制限を撤廃し、全員が受け取れるようにするとのことですが、
カナダでは家庭の収入に応じて満額から徐々に減額され、さらに子供の数や年齢により個別に算出されます。

例えば家庭の手取り収入(夫婦合算)が年間34863カナダドル以下の場合は満額支給。
もし家庭の手取り年収が年間100000カナダドルの場合で、
6歳未満の子供が一人の家庭では月額317.26カナダドル支給されます。
また、6歳未満の子供が二人いる家庭の手取り収入年間60000ドルの
家庭の場合は合計956.70カナダドルの支給。

物価の差があるとはいえ、収入に応じて個別に支給額が決定されるので不公平感も少ない印象で、
特に平均的な収入の家庭でも子供一人あたり300〜500ドルもらえるイメージなので
日本より手厚いといっても過言ではないかと思います。
家賃にあてたり、将来の大学資金に充てたり、あとは子供が小さいうちはデイケアの費用に使ったり。

比べて日本の児童手当は1人10000〜15000円なので、
習い事1つに当てられるかという感じでしょうか。
全員支給ということで個別に計算する手間は省けるかもしれませんが、
収入によって、もう少し幅を持たせてもいいような気がします。

ただ、日本はこれ以外にも一時金として2023年4月以降、
出産・子育て応援給付金を10万円支給しているようなので、
少しは子どもが生まれた時に必要なものを買い揃える費用に充てられるのかなと思います。

出産費用

日本では保険適用外となっている出産費用ですが、2026年度を目処に保険適用の対象にする方針。
現状では病院にもよりますが一般的には40〜50万円かかるということ。
出産育児一時金が2023年4月より50万円に増額されて支給されているとのことなので
出産費用はほぼカバーできはするようです。
保険適用されれば負担額が3割程度となり、もしそのまま出産育児一時金もそのまま
支給されるのであれば、より家庭の負担は減りそうです。

妊娠検診の補助も自治体によって10万円前後あるようですが、
自己負担分が5〜10万円ほどかかるのが一般的なよう。

一方カナダは妊娠の検診から出産まで保険適用され、負担額はゼロなので、
検診も出産も入院も入院中の食事も全て国民保険に入っていれば無料。
不妊治療は自費ですが、出産によって一時的に大きなお金がかかることはありません。
その代わり出産一時金もないので、赤ちゃんに必要なものを買うにあたっては
お金がいりますが、お下がりや中古品などを利用すれば負担を軽くすることもできます。

ちなみに私は今回この記事を書くまで知らなかったのですが、
日本は不妊治療は回数や年齢に条件がありますが2022年4月から保険適用となったようです。
保険適用により負担額が3割。これは子どもがほしいけど不妊治療は高いしと
諦めていた方々には相当嬉しい制度ではないでしょうか。

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共働き支援

まずは育休の最大28日間の給付率を、現行の67%(手取りで8割相当)から
8割程度(手取り10割相当)に引き上げることが検討されているよう。
こちら男女ともにの制度ですが、産後パパ育休という制度でも
最大28日間の給付率を同じく手取り10割相当に引き上げることが検討されているようです。

また育児時短就業給付という制度では、男女共に一定時間以上の時短勤務をした場合、
手取りが変わることのないよう給付を実施する制度も検討されているとのこと。

他にも選択的週休3日制度やテレワークの努力義務、
親と子の選べる働き方制度、子の看護休暇など色々と検討されている制度はあるよう。

一方カナダはというと、産休育休中に受け取れる金額は月給の55%×12か月か、
33%×18ヶ月のどちらかで、日本の月給67%とそこまで変わらない印象。
ただ、夫婦ともに育休を取る場合は夫婦合計で12ヶ月ないし18ヶ月となります。
(例えば男性が2ヶ月育休をとるなら女性は10ヶ月しかとれない、など)
それ以外には共働きを推奨制度はなく、時短するならパートタイムへの変更、
テレワークがしたいなら転職、というようなことが必要。
産休育休は国の失業手当として支給されるので、
元の職場に戻らなくても支給されるのがメリットですが、
もし日本のこれらの制度が全て実施されるとしたら、
子育て支援としてはいいかもしれません。

こども誰でも通園制度

将来的に保育園への入園条件を撤廃する方針。
親が働いていなくても時間単位で保育園を利用できるようにするとのことですが、
そもそもの時点で「親が働かないといけないので仕方なく保育園に預けなければいけない」
というニュアンスの条件なのが残念だなと思います。

子供の教育機関という位置づけであれば、こども誰でも通園制度は当たり前の話であり、
保育士の地位も向上するのではと思うのですが、
今の考え方だと、保育士は教育者ではなく「親代わりに子供たちを見ているだけ」
という構図が拭えないなと思います。
保育園では社会性を身につけたり、自分の興味を探究していったり、
言語能力の向上が図れたり、十分教育として成り立ちます。

カナダでは無職だから保育園に入れないということはなく、
仕事が休みの日でも堂々とつれて行けるし、
仕事のあとに買い物をしてから迎えに行ってももちろんOK。
子どもがいるとできない用事(病院の検査、美容院など)もあるし、
親のメンタルを保つためにももっと堂々と保育園が活用されればいいのにと思う次第でした。

保育士不足や待機児童問題などはカナダも深刻ではあるので、
そこはカナダでも改善が求められる部分ではありますが、
保育士の処遇改善のためにBC州では政府からの補助金で
時給に4ドルプラスでお給料がもらえたりするのは
日本より一歩進んでいるのかなと思います。

どちらの国も子育てしやすい環境や制度がどんどん整っていくといいなと思う限りです。

参考:
Child care benefit – How much you can get
https://www.canada.ca/en/revenue-agency/services/child-family-benefits/canada-child-benefit-overview/canada-child-benefit-we-calculate-your-ccb.html
異次元の少子化対策 – 児童手当や給付金 2023年最新情報
https://kurashi.yahoo.co.jp/procedure/contents/childcare_support/

なお、カナダの大学で保育を学び、現地保育園に就職した
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